ゆ 「やれやれ、ようやく我が家に着いたぞ」
い 「疲れた、もうクタクタだ」
ゆ 「その台詞は自分の足で歩いてから言え」
い 「仕方が無いだろう、足を挫いたんだから。それに人におぶさっているのも、それはそれで疲れるんだぞ」
ゆ 「そんなもんかね。とりあえずお前をここまで背負ってきた俺に労いの言葉でもかけておけよ。ついでに日頃の感謝も込めてくれると尚良い」
い 「ご苦労だった、ありがとう……うぅ」
ゆ 「どうした?」
い 「心にも無い事を言ったので胸が痛むのだ」
ゆ 「……そーかい。どっこらせっと、あーやっぱ我が家は落ち着くなぁ」
い 「親父」
ゆ 「ほっとけ」
い 「む……ゆば、携帯の着メロを変えてくれと言っておいたろう」
ゆ 「いいじゃねーか、ドナドナで。それより携帯取ってくれよ」
い 「待て、今私が読んでる」
ゆ 「いや、勝手に読むなって……あ?」

例の件、妻も賛成してくれて、子供達も大喜びでした。お二人には本当に感謝しています。m(_ _)m
その子供達なんですが、実は話を聞いた途端、ろくに身支度もせずに飛び出してしまいまして……ひょっとすると今日中にはそちらに到着するかもしれません。本当にご迷惑ばかりお掛けして申し訳ございません(つД`;)
明日には荷物をまとめてお届けするよう手配しますので、二人の事をどうぞよろしくお願いします。


ゆ 「……なんで俺のアドレス知ってんだよっ、しかも神のくせにメールかよ! 顔文字かよ!」
い 「落ち着けゆば、問題はそこじゃないぞ」
ゆ 「そうか、そうだな、その通りだ……よし、落ち着いたぞ。で、今日中に来るって? 住所とかわかるのか?」
い 「メールアドレスが分かるんだぞ?」
ゆ 「そうだな……とりあえず部屋片付けとくか」
い 「ん……?」
ゆ 「なんだ、どうかしたか?」
い 「……危ないゆば! 扉から離れろ!!」
ゆ 「は? いったいなにゅごぶっ!!」
? 「どーーーーん!!!」
? 「おっじゃましまーーーす!!!」
? 「始めまして! 湖の神の息子の『とおる』です!」
? 「同じく娘の『みなも』です!」
と&み 「「よろしくおねがいしまーーす!!」」
い 「…………」
と 「…………」
み 「…………」
ゆ 「むぎゅう……」
い 「…………」
み 「……どうしようお兄ちゃん、リアクションが皆無だよ」
と 「うーん、どうやら少し脅かしすぎたみたいだね」
い 「…………」
み 「こういう場合は謝るべきなのかな?」
と 「そうだね、それがいいだろうね」
い 「…………」
み 「でも何て言えばいいのかわからないよ」
と 「うーん、確かに難しい問題だねぇ」
み 「む〜ん……あっ、いいこと思いついちゃった☆」
と 「なんだい? 兄さんにも教えてくれよ」
み 「え〜、ど〜しよっかなぁ〜〜?」
と 「おいおい、いじわるしないでくれよ」
み 「しょうがないなぁ。あのね、どうしたらいいかわかんない時は、相手に聞いちゃうのが一番早いと思うの☆」
と 「うぅーん、たしかにそうだけど、それはちょっとずるくないかい?」
み 「そんなことないよぅ、お兄ちゃんは変に真面目なんだからぁ」
と 「真面目なのはいいことじゃないか」
み 「もぅ、今はそんなこと言ってる場合じゃ無いでしょ」
と 「それもそうだね。と、いうわけなんですが」
み 「私達はどうすればいいんですか?」
い 「……謝る時の台詞としては『ごめんなさい』が最も一般的だ」
と 「なるほど」
み 「そうなんだー」
と&み 「「せーの、ごめんなさい」」
い 「いや、それはまぁいいのだが……」
み 「よかったぁー、許してもらえたねお兄ちゃん」
と 「うむ、みなものおかげだね。ナデナデしてあげよう」
み 「もうっ! あたしはもう子供じゃないってばぁ!」
と 「ははっ、ごめんごめん」
い 「おい、そこの二人」
み 「はい?」
と 「なんでしょう?」
い 「そろそろそのドアから降りないと一人の男を圧殺することになるぞ」
と 「……おや?」
み 「あれまぁ? 」
ゆ 「きゅう……」



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