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〜3〜

 黒い排気ガスを吐き出して、この日最後のバスは道路の先へ消えた。寂れたバス停で、長身の男が一人ぼんやりと立ち尽くしている。男はバス停の丁度正面に聳え立つ山に沈んでいく夕日を静かに見つめていた。やがて、太陽が完全に沈んでしまうと、男は道路に沿ってゆっくりと歩き出した。ポケットに手を突っ込んで、鼻歌を歌いながら薄暗い夜道を歩いていく。しばらく歩くと、小川にかかった小さな橋に差し掛かった。男は再び足を止め、穏やかに流れる水に目を向ける。
「全然変わってないなぁ、ホント」
 呟きは、生暖かい夜の空気へと溶けていった。